2024年3月の学会発表(HAIシンポ、NLP、ALST、FoCKS、情報的健康、WBAレクチャー)
新学期が始まってしまいました。年度末(特に3月)は怒涛のイベントの連続で、レポートが追いつきませんでした。ようやく落ち着く時間も取れたので、まとめてレポートしておきます。
HAIシンポジウム2024
3/5-6 静岡大学浜松キャンパス(リンク)
年度末の学会シーズン、地元から開始しました。人間と人工エージェントの関係性を問うヒューマンエージェントインタラクションに関するシンポジウムです。昨年と同様、地元開催です。地元開催ということは、ホスト側として、当然準備をしなければいけないのですが、2年目ということもあり、個人的にはだいぶ楽をしました。移動コストのほうが大きいぐらいでした。以下は当研究室と関連した発表です。
- 将棋を対象とした認知的インタラクションモデルの構築 ―活性値により生成される観点の固着―
村松 希実也, 森田 純哉 (静岡大) - VRを用いたサイバーボール課題におけるエージェントと参加者の表情同期の効果検証
馬場 龍之介, 森田 純哉 (静岡大) - インタラクションによるエージェントの行動変化: 複雑さと固定化速度の可視化
福田 健翔, 森田 純哉 (静岡大) - パターンの発見に基づいた好奇心のモデルに対する主観評価
長島 一真, 森田 純哉 (静岡大) - 協同問題解決における「一体感」の生起プロセスに関するマルチモーダル解析
伊藤 多喜, 森田 純哉 (静岡大)
言語処理学会
3/11-15 神戸国際会議場(リンク)
年度末第二段の学会発表は昨年度に引き続きの言語処理学会への参加です。この直前に科研費の会議もあったので、西川さんは連泊でした。本レポートの執筆者(森田)はいったん浜松に戻ったのちに研究室メンバーの発表日に合流しました。近年の大規模言語モデルの成功もあり、とても勢いのある学会でした。そんなかで我々が発表したのはテーマセッション「言語とコミュニケーションの創発」。変化する時代のなか、改めてこのテーマ(言語進化)の重要性を認識する機会でした。
- 共通基盤の構築に及ぼすイメージ生成の個体差に関するシミュレーション
由井達也, 森田純哉, 天谷武琉 (静大), 東中竜一郎 (NTT), 竹内勇剛 (静大) - 個別化認知モデルを用いた音韻意識推定手法評価のための音声フィルタの検討
西川純平, 森田純哉 (静大)
第100回 先進的学習科学と工学研究会 (ALST 100)
3/16 近畿大学東大阪キャンパス(リンク)
言語処理学会での発表が終わった後にそのまま関西に滞在し、近大で開催されたALST研究会へ。第100回という記念すべき回となり、企画盛沢山でした。本レポートの執筆者もパネルで言いたいことを言わせていただきました。以下は当研究室からの発表です。まだまだワークインプログレス。これから修士で頑張ってほしいですね。
- コンセプトマップ作成の認知モデリング: 学習成果物からの編集距離による評価
加納 正慈, 森田 純哉 - 活性化拡散を用いたユーザのコンテクストに合わせたWeb情報提示機構の検討
返田 海太, 森田 純哉
第10回 知識共創フォーラム
3/20 北陸先端科学技術大学院大学(リンク)
本レポートの執筆者は学内業務で参加できなかったのですが、研究室メンバーの佐々木さんをJAISTに派遣しました。RISTEXプロジェクトに関わる発表です。濃密な議論をしてきたと聞いています。これから頑張っていきましょう。
- SNS におけるローカルエコーチェンバーの形成メカニズムとフェイクニュースの拡散の分析
佐々木 健矢,森田 純哉
情報的健康シンポジウム
3/26 慶應義塾大学(リンク)
同じくRISTEXプロジェクト絡みの発表です。じつはこの前日にも2022年に終了した科研費共創言語進化学の集まりもあり、そちらに参加したのちのはしごです。当研究室としては、言語進化の枠組みのなかで、現代のコミュニケーションの問題に迫るということをスタンスとしています。それでこのシンポジウム。メディアの方々もたくさんいらしていて、イベント自体は各種メディアでとりあげられたとのこと。広範な研究者との共同のなかで現代の情報社会を作っていく必要があるのだろうなと思いを新たにしました。
- JST RISTEX DigiST プロジェクト ローカルエコーチェンバーをステアリングするトラスト調和メカニズムの認知的検討
森田純哉,竹内勇剛,大本義正,遠山紗矢香,市川 淳,高口 鉄平,遊橋 裕泰
第214回 情報処理学会知能システム研究会(先端情報学と行動情報)
3/26 オンライン(リンク)
上記の対面シンポジウムの裏で当学科の福田先生が運営されているオンライン研究会にて発表をさせてもらいました。シンポジウム参加中に骨伝導イヤホンで同時並行して話を聞いていました。こちらの研究会のほうでは発言できず、心のなかで発表者の応援をしていました。また、ディスカッションをしていただいた先生方、ありがとうございました。今後、研究を発展させていけたらと思います。
- SNSにおける情報拡散の認知モデル—二重過程理論として捉えた情動と他者視点の切り替え—
塚田 瑛介,佐々木 健矢,森田 純哉 - 協力型ゲームのシミュレーションを通した情動とその伝染による協調行動への影響の理解
河路 塁生,森田 純哉,大澤 博隆 - 記憶に関する推定パラメータと個人特性・内部状態との関係
新堀 耕平,西川 純平,長島 一真,森田 純哉
第5回 WBAレクチャー「全脳計算モデルの実現に向けた認知モデルの役割」
3/28 オンライン(リンク)
R5年度最後のイベントもオンラインです。全脳アーキテクチャイニシアチブでのオンラインイベントを開催しました。参加者は150名程度とオンラインではありましたが、にぎやかな会になりました。すでに宣伝をしている人工知能学会の特集をベースとしつつ、7月の国際ワークショップの宣伝の機会となりました。いずれにせよ生成AI時代にて、認知モデルの意味を考え、つないでいく必要があります。
更新:2024/4/8