研究内容

研究概要

 情報技術と人間の心(知性と感情)を対象とした科学もしくは工学に取り組んでいます。認知科学、人工知能、情報処理心理学、ヒューマンコンピュータインタラクション、知的学習支援。いろいろな呼び名の領域がありますが、こだわりません。人間の行動を情報技術によって定量化し、人間の心をコンピュータのうえで外在化/モデル化する。そのことによってコンピュータを賢くすると同時に、人間を作り変えていく。行動情報学の領域で、人間とコンピュータをめぐるフロンティアに挑戦し続けます。

行動を生み出す心の情報処理モデル

 人間の行動を再現するコンピュータプログラムの開発にとりくんでいます。様々なアプローチがあるなかで、我々は行動の背景にある心のモデルを構築することに重点をおいています。具体的には、人間のもつ知識をコンピュータプログラムのかたちで表現します。さらに、人間と等価な記憶や学習アルゴリズム、人間の感情と対応するパラメータ調整メカニズムによって、実装された知識を駆動します。これにより行動を生み出す心の働きがコンピュータに外在化され、実行可能なかたちで人間の心を理解できるようになります。個別の研究としては、

などのモデル化に取りくんできました。

情報技術を利用した人間行動の定量的分析

 人間行動に関わる多量のデータから価値を創出することは、行動情報学の重要なミッションです。我々は、上記モデルベースのアプローチにこだわることで、オープンエンドな行動データを意味づける分析手法を開発します。これまでに扱ってきた人間の行動に関わるデータは、

を含みます。これらマルチモーダルなデータをモデルベースで分析することで、人間の知性や感情の状態を推定し、その発生メカニズムを理解することを目指しています。

情報技術による行動変容への働きかけ

 人間の心のモデル、とくに自分の心を模したモデルに対して、人間はどのようにインタラクションするか。そして、人間とモデルのインタラクションを、人間が人間の心を作り変えていく試みにどのように応用できるか。心のモデル化技術、行動の定量化技術を応用することで、人間とモデルがインタラクションする環境を構築してきました。応用領域として、

を含みます。

認知モデルを利用したシミュレーションの事例。名古屋大学情報科学研究科三輪研究室との共同研究。

認知モデルを利用したシミュレーションの事例。北陸先端科学技術大橋本研究室との共同研究。

認知モデルを利用した高齢者支援についての発表ポスター(2016年1月)。名古屋大学情報科学研究科間瀬研究室との共同研究。JSPS科研・新学術・認知的デザイン学、JST・COI・名古屋拠点からの支援を受けて実施。